日本人のためのフィアットデュカト!ダーウィンD5は和洋キャンピングカーの「いいとこ取り」?
ヨーロッパの商用車の代表格「フィアット・デュカト」。日本で言えばハイエース的な存在で、オシャレで快適、機能性も高い——でも、輸入車をキャンピングカーにするとなると、ちょっとした不安がつきまとうのも事実だ。
輸入車への憧れと不安、その両方に応える一台
「サイズ感がわからない」「運転しにくそう」「修理やメンテナンスが不安」——そんなユーザーの声に応える形で、デルタリンクの国産キャンピングカーブランド「D.V.D(デルタ・バン・デザイン)」が送り出した新作が「ダーウィンD5」だ。
その開発背景を探ると、国産であることに徹底的にこだわったローカライズの姿が見えてくる。
スタイリッシュなダーウィンD5の室内には、ユーザーニーズに徹底的に向き合って作られたメイド・イン・ジャパンの技が随所にちりばめられている
業界のプロが語る、開発のリアル
ダーウィンシリーズを企画・開発するデルタリンクは、アドリアモービルなどの輸入キャンピングカーを長年取り扱ってきた。
そのノウハウを活かして、日本の道路事情やユーザーのニーズに合った国産デュカトベースを目指して開発されたのがダーウィンD5。
デルタリンクは、アドリアモービルをはじめとした欧州車から、国産キャンピングカーまで幅広く扱う国内有数の販売店チェーン。その豊富な車種ラインアップを通じて、ユーザーの好みや不安、使い方の傾向を熟知しているからこそ、理想的な「日本仕様のデュカト」を描くことができた。
「ダーウィンシリーズの魅力は、業界きっての家具クオリティと細部までこだわった車両製作。それを踏襲しつつ、さらに進化させたフラッグシップがD5です」
と語るのは、デルタリンクが属するLACホールディングス・デュカト開発室の田中将太室長。
「全長約5.4mの運転しやすいサイズのデュカトを、できるだけ快適に使えるよう、室内設計には特にこだわりました。その一例がリビング部分で、フロントシートを回転させたときの座面高に合わせてダブルフロアを採用したことで、空間の一体感と快適性が一段と高まったと思います」
欧州車のフロントシートは座面位置が高いため、日本人の体格を考慮して、テーブル下は小上がりのように一段高くなっている
「フロントシートも居住空間として使うことで、室内を広くすることができました。リビング部分にトイレルーム、キッチン、ベッド、カーゴスペース、それぞれ独立してしっかり使えます」
スライドドア近くで車外からも使いやすいキッチンは、シンクに電子レンジ、冷蔵庫などを使い勝手に優れた装備が充実。正面の黒い壁の部分がマグネットになっていて、棚や小物かけなどを自在にアレンジできる
「とくにこだわったのはベッドルームで、跳ね上げベッドとウッドスプリングを採用しました。これにより荷物の積載や快適な睡眠をお届けできます。ベッドサイズは欧州車と同スペックなので、十分に満足いただけるかと思います」
ベッドは「ハイマウントベッド」と呼ばれる形式で、荷室の上に設置されている。通常のベッドよりも高い位置にあるため、その下の空間がまるごと大容量の収納スペースとして活用できる
「サブバッテリーは安全性と耐久性に優れたリチウムイオンリン酸鉄タイプで5kWhの大容量により、長時間安定した電力供給が可能です。採用したエコフローのパワーシステムは、電力損失が少なく飛躍的な充電効率の向上と、優れた安全性が魅力です。お問い合わせの多い装備であるルームエアコンに関しては、オプションではなく標準装備しました。標準装備にすることで多くのメリットがあります。後付けの場合だと見た目が悪かったりしますが、標準装備にするとトータルコストも抑えられ、かつきれいな収まりにできます」
ベッドルームの上部収納庫に隠されたルームエアコン。標準装備のため専用のスペースに美しく収められ、トータルコストも抑えられるのがメリットだという
気になる販売価格は1,526万6,800円(税込)。輸入車ベースの高品質な装備と、国産クオリティの安心感を兼ね備えたフラッグシップとしては、納得のプライスタグといえるだろう。
実寸でわかる、ダーウィンD5のリアルサイズ
まずは、ダーウィンD5の基本的なレイアウトから見ていこう。
フィアットデュカトのフロントシート回転機構を活かして、セカンドシートと対面できるリビング空間。車両中央にキッチンとマルチルーム、後部にはダブルベッドというレイアウトは、ヨーロッパでも人気の構成。夫婦2人の旅にちょうどいい。
【ベッド】
サイズ:長さ1920mm × 幅1140~1310mm
ウッドスプリング+適度な硬さのウレタンで、大人2人がゆったり就寝できる快適な寝心地のベッドルームは、跳ね上げベッドとウッドスプリングを採用。これにより荷物の積載性と快適な睡眠を両立した。ベッドサイズは欧州車と同スペックで、体格の大きなユーザーでも満足できる。
【上部収納】
左収納庫:幅420×奥行180×高さ280mm/右収納庫:幅690×奥行290×高さ280mm
圧迫感を抑える傾斜形状。エアコン本体も家具でカバーされ、すっきりとした見た目に。
【フロア下収納】
サイズ:奥行き1150~1820mm × 幅940mm
ベッド下スペースを有効活用。マルチルームの前まで荷室として使えるため、長尺物も積載可能。
【左右収納庫】
左収納庫:幅1320×奥行140×高さ660mm(給水タンク搭載) 右収納庫:幅300×奥行270×高さ660mm(写真左手側には電装システムを格納)排水タンクはフロア下にオリジナルステンレス製50ℓのものを装備している
【マルチルーム】
サイズ:間口650mm × 奥行き660~770mm
マルチルームは上部収納とハンガーバーを備え、ワードローブとしても利用可能。ここの壁面にも一部マグネットボードが使われていて、トイレットペーパーホルダーなどマグネットタイプのものをはりつけておける。大人でも余裕のサイズ感。
細部まで国産クオリティ
ダーウィンD5の細部には、日本で使うことを前提にした丁寧な工夫が詰まっている。
例えば、壁面には調湿・脱臭効果に優れた多孔質セラミック素材「エコカラット」を採用。キャンピングカー特有のこもった空気を快適に整えてくれる。シートにはテフロン加工が施されており、飲み物をこぼしてもサッと拭くだけで汚れが残りにくい。小さな子どもがいる家庭や、ペット連れのユーザーにも安心だ。
電装系の装備も万全だ。サブバッテリーには、安全性と耐久性に優れたリン酸鉄リチウムイオンタイプを搭載。5mの大容量を確保しているため、長時間の車中泊や連泊キャンプでも安心して電力が使える。
さらに、LACが独自開発した「エコフローパワーシステム」により、電力損失が少なく、充電効率は飛躍的に向上。インバーターからの発熱も少なく、安全性も申し分ない。
そして何より嬉しいのは、家庭用エアコンを標準装備していること。後付けではどうしても配線やダクトが露出しがちだが、D5ではインテリアと一体化するように設計されている。見た目にも美しく、トータルコストも抑えられるのが魅力だ。
これらすべての仕様は、輸入車ベースでありながら「日本で安心して長く使えるキャンピングカー」を目指した結果。ダーウィンD5は、その思想が形になった一台だ。
ダーウィンD5は「日本人のためのデュカト」だ
デュカトベースのキャンピングカーが気になるけど、一歩踏み出せなかった人にとって、ダーウィンD5はまさに橋渡しとなる存在だ。
輸入車の魅力をそのままに、使い勝手は完全に日本仕様。そのバランスの良さが、ダーウィンD5を唯一無二の一台にしている。
見た目はヨーロピアン。だけど中身はしっかり国産。ダーウィンD5は、フィアット・デュカトが「輸入車じゃなくなる」瞬間を体現したモデルなのだ。