【日本のキャンピングカーの歴史を語る】かつて話題をさらった幻のベース車。その名は「SRX」
1991年、オートキャンパーの創刊当時から、日本のキャンピングカーブームを見続けてきたライターの鈴木康文が、キャンピングカーやキャンピングカーメーカーの歴史を語る。第2回の今回は、いよいよ日本でも盛り上がってきた「Kia PV5」から往年のヒュンダイ製ベース車SRXに思いを馳せる。
話題をさらった”ヒョンデ”製ベース車「SRX」
今でこそ、国産キャンピングカーのベース車両にフィアットなどの輸入車を採用する動きは珍しくない時代になったが、その先駆けとも言える車両が02年に存在していた。それは現在はヒョンデと日本呼称に変わったヒュンダイ製のモデルで、SRXというトラック。国産のキャンピングカーベース車両と比較し、かなり魅力的な外観と性能を持って当時はかなり話題になった。
ベース車両の輸入販売とアフターメンテナンスに関しては、キャンピングカーとして仕立てたバンテックが一手に引き受け、一車種限定のいわゆる国内総代理店的な位置付けとなっていた。
このSRXをベースに登場したモデルは2種類。1つ目は自社ブランドでトヨタ・ライトエーストラックで採用していたキャンピングシェルを架装したアトムSRX。もう1つは、バンテックが各種OEM供給するモデルとしてコマンダー。このコマンダーに関しては面白そうな話もあるのだが、話があまりに長くなるので今回はバッサリ割愛。
キャンピングカーの「現在」につながるマイルストーン的モデルだった
さてこのバンテック製アトムSRXであるが、もちろん本誌企画で試乗したことも鮮明に覚えていて、国産ベース車とは一線を画した走りに驚きをもった記憶がある。特に、返却のためかなり急いで名阪国道を流している時には、ロングホイールベースでリヤワイドトレッドが相当走行安定性に効果があり、さらに中速トルクがしっかりしたディーゼルターボエンジンの乗りやすさに舌を巻いたものだ。
実はエンジンは、日本では旧モデルとなった三菱パジェロなどに載っていた旧型のものだったがある意味傑作。シャシー等も相当部分共通していた。
やはりフロントエンジンでボンネット付きだと、キャブコンスタイルでも重量バランスが良く低重心、乗用車的にニュートラルな運転感覚が得られるものだと感心した。
商業的な成功は難しかったがベース車両の多様化を実現し、後のカムロードワイドへとつながった重要なモデルだ。


